こんにちは、ライフコーチのSayaです。
最近、十二国記シリーズの「月の影 影の海」(上・下)を読み返しました。
十二国記とは、小野不由美さんのファンタジー小説シリーズで、1991年に最初の作品が刊行されてから、これまでに10作発売されています。
シリーズ累計発行部数が1280万部を超える大人気シリーズなので、読んだことがある方もいらっしゃるかもしれません。
私が初めて読んだのは10年くらい前だったかと思います。
ファンタジーものがあまり得意ではない私が、どハマりしました。
そして、これは何度でも読み返したい作品だと思い、最初は職場の後輩に借りて読んだのですが、その後自分でも買い揃えました。
このシリーズには、人間の愚かさ、あさましさ、卑怯なところや、優しさ、誠実さ、思いやりといった、誰にでもある人間の弱さや強さが描かれています。
そして、それを通してそれぞれのキャラクターが悩み、葛藤し、成長していきます。
ストーリーが面白いのはもちろんのこと、読みながら、また、読み終わったあと、自分にもこういうところあるよな、とか、自分だったらどうするかな、など、とても考えさせられます。
なので、おそらくもう2回は読んでると思うのですが、また読み返してみました。
40歳過ぎて、ライフコーチになって読むと、また深く心に沁みるものがありました。
今回は、「月の影 影の海」を読んで感じたこと第一弾を、ご紹介します。
(※ ネタバレがあるので、ご注意ください。)
小説のあらすじ
最初に、小説のあらすじを途中まで、ごくごく簡単にお伝えします。
主人公は、日本に住む高校生、中嶋陽子。
ある日、学校にケイキと名乗る金髪、長髪の男性が現れ、陽子はついて来るように言われます。
陽子にとっては見知らぬ異様な男性なので当然拒みますが、どこからか大きな化物が現れて陽子たちは襲われ、陽子はケイキについて行かざるを得なくなります。
しかし宙を移動している間に、再び化物に襲われ、陽子はケイキとはぐれてしまいます。
振り落とされて気を失ってしまった陽子が目を覚ますと、そこは見知らぬ土地。
日本とはちがう、陽子の知る世界ともちがう、異世界でした。
日本に戻るため、ケイキを探す陽子の孤独な旅が始まります。
旅の道中、陽子は化物に何度も襲われ、ケイキから渡されていた剣で戦います。
役人からは追われ、賞金をかけられて指名手配犯のような扱いになります。
信用できると思った人には、裏切られます。
身も心もボロボロで、陽子は誰も信用できなくなります。
化物に襲われ、今にも死にそうな陽子を助けたのは、楽俊という半獣(半分ネズミで、半分人間)でした。
それまでに二度も人に裏切られている陽子は、看病してくれた楽俊を信用しようとはしません。
しかし、一人でケイキを探すことは難しいと感じ、用心しながらも楽俊と他国を目指すことにします。
楽俊との旅の途中で、陽子たちはまた化物に襲われます。
陽子は化物を倒しますが、楽俊がケガをして意識を失っているのを発見します。
化物との戦いの騒ぎで、役人が近づいてくる中、役人に見つかることを恐れた陽子は、楽俊を見捨てて、その場を離れます。
襲われ、追われ、戦って、陽子が得たもの
久しぶりに「月の影 影の海」を読んで感じたのが、
陽子が一人で化物と戦ったり人に裏切られるという苦しいパートが、長い。
それに比べて、この先の十二国記シリーズの主要なキャラクターが登場して、明るい兆しか見えてからのストーリーが、短い。
ということでした。
読んでて、苦しかったよ
本作は、上下巻に分かれています。
上巻の大半は、異世界で戦う陽子の苦しい境遇が描かれていて、死にそうなところで上巻が終わります。
下巻では冒頭で楽俊と出会いますが、最初の3分の1は、楽俊を信用せず楽俊を見捨てて苦しむ陽子が描かれています。
下巻の残りの3分の2でやっと本格的に希望が見えて、楽な気持ちになってくる、という構成です。
小説の中で陽子は苦しんでいる描写がとても長く、希望が見えてからは、あっという間にクライマックスまで進みます。
ただ、実際こういうことってあるよね、とふと思ったんですよね。
どんなに長い間悩み、苦しんでも、自分の気持ちや行動一つで大きく状況が変わり、急展開することがあります。
悩みや苦しみが無駄だったかというと決してそうではなく、悩みや苦しみの中で学んだりちょっとずつちょっとずつ変化しているからこそ、最後に急展開を見せる。
作者は、物語の構成から、このようなことを伝えたかったのかもしれません。
異世界にたどり着いた陽子は、最初はわけもわからず、ただただその世界に無理やり連れてきたケイキに怒り、嘆いていました。
けれど、待っていてもケイキは迎えに来ず、さすがにそれじゃあ埒があかないことを悟り、自分で考え、行動するようになっていきます。
日本では、よく言えば優等生、悪く言えばいい子ちゃんだった陽子。
ただ楽だからという理由で、周りに合わせて生きていました。
そのように生きていたら真に分かり合える相手、真の友人などはできない。
それを心のどこかでは分かっていたにも関わらず、ずっとそのように過ごしていました。
けれど、異世界ではひとりぼっち。
化物に襲われ、役人に追われる身となって、生きるか死ぬかという状況に置かれたら、嫌でも「生」や「死」というのものを意識せずにはいられませんし、生き抜くための術を考えざるを得ません。
おまけに、信用した人に裏切られて疑い深くなっていきます。
陽子の中にある「死んだ方が楽」「どうせ日本には戻れない」「お前はだまされている」などという悪魔の声は、蒼く光る猿(蒼猿)となって陽子の前に現れ、惑わせます。
最終的に急展開になるきっかけとなったのは、陽子が蒼猿(陽子自身の中にある悪魔の声)に打ち勝ったときです。
意識を失っている楽俊を見捨てたことを後悔する陽子に、蒼猿は次のように言い放ちます。
「卑怯になったが勝ちサァ。ここは鬼の国だからなァ。お前に誰も親切にしたりしないんだぜ。親切な人間なんか、いないんだからヨォ」
「月の影 影の海」(下巻)より引用
惑わされながらも、陽子は次のように考えます。
陽子自身が人を信じることと、人が陽子を裏切ることは何の関係もないはずだ。陽子自身が優しいことと他者が陽子に優しいことは、何の関係もないはずなのに。
独りで独りで、この広い世界にたった独りで、助けてくれる人も、慰めてくれる人も、誰一人としていなくても。それでも陽子が他者を信じず卑怯に振る舞い、見捨てて逃げ、ましてや他者を害することの理由になるはずがないのに。
「月の影 影の海」(下巻)より引用
そして陽子は強くなることを願って蒼猿に勝ち、楽俊を探し、クライマックスに向けて話が展開していきます。
日本にいたときの陽子にも、悪魔の声と天使の声の葛藤があり、悪魔の声に無意識にしたがっていたのかもしれません。
もはやそれが当たり前のことになっていて、そのことに気がつかないまま(あるいは気がついていないフリをして)、過ごしていたのでしょう。
陽子が戦ったのは、化物や役人だけではありません。
異世界に放り込まれて苦しんだからこそ、陽子は自分自身と向き合い、自分自身と戦いました。
その結果、陽子は多くを学び、大きな変化を遂げました。
それが、事態の解決に結びついたんですね。
まとめ
今回は、十二国記シリーズの「月の影 影の海」を読み返して感じたこと第一弾として、
- 苦しみや悩みは、決して無駄ではない
- 気持ちや行動ひとつで、状況が急展開することがある
- 相手があることでも、最終的には「自分がどうするか」という自分との戦い
ということをお伝えしました。
悩みや苦しみは、長く、つらく感じますよね。
でもきっと、なにか意味のあることなんだと、信じてください。
そして、何かがきっかけとなって、急に解決できることだってあるんです。
陽子にとっては、自分を惑わす蒼猿(自分の中の不安や疑念などの悪魔の声)に打ち勝つことが、急展開のきっかけとなりました。
誰もが、自分の中に陽子がもっていたような「悪魔の声」をもっています。
一方で、「天使の声」も必ずもっています。
どちらを採用するかは、自分次第。
どちらを選ぶか、誰も強制することはできません。
もし、あなたが陽子のように自分の中の悪魔の声に惑わされているならば、天使の声が何を言っているのか、聞いてみてください。
そして、思い切って、天使の声の方を採用して、次の行動を決めてみてください。
もしそこでサポートが必要ならば、お気軽にコーチングをお試しくださいね。
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