こんにちは、ライフコーチのSayaです。
前回から、十二国記シリーズの「月の影 影の海」(上・下)の感想をお伝えしています。
前回の記事はこちら
今回は、主に楽俊のことばを中心にお伝えしていきます。
(※ 小説の核心部のネタバレがあるので、ご注意ください。)
小説のあらすじ(前回からのつづき)
楽俊を見捨てたことを後悔し、蒼猿(自分の中の不安や疑念などの悪魔の声)に打ち勝った陽子は、楽俊を探します。
なかなか見つからずに苦労しますが、もともと楽俊と共に目指していた国(雁)にたどり着いたところで楽俊が見つかり、合流します。
雁は、それまで過ごしていた国(巧)よりも豊かな国。
陽子のように日本から来た人間にも寛容です。
陽子と楽俊は、日本からこの世界にたどり着いて現在は雁で学校の先生をしている人物に会います。
楽俊は、その人物から聞いた話と陽子の話を合わせ、陽子は慶という国の王なのではないか、と考えます。
そして陽子と楽俊は雁の王に謁見を申し込み、陽子が確かに慶の王であることを確認します。
この世界では、麒麟と呼ばれる霊獣が国王を選びます。
ケイキは慶という国の麒麟、景麒で、日本で陽子が初めて景麒に出会ったとき、景麒は陽子を王として選び、契約を交わしていたのです。(もちろん、陽子は気が付いていなかった。)
しかし、日本ではただの女子高生で、異世界に迷い込んでからは自分の行ないなどを悔い、恥じていた陽子は、一国の王になることを簡単には受け入れられません。
逡巡する陽子を勇気づける楽俊
ある日突然、一国の王になって国を治めろ、と言われたらどうしますか?
日本だったら岸田首相
アメリカだったらバイデン大統領
みたいな感じでしょうか。
ゲームだったら面白そうとは思いますが、現実だったとしたら?
はっきり言って、困りますよね。
40過ぎの私だって困るのに、陽子は女子高生です。
それまで周りに合わせて生きてきて、主張することが少なかった。
親切にしてくれた楽俊を一度は裏切り、見捨てた。
そんな陽子は王になることをためらい、その気持ちを楽俊に伝えます。
「自分を卑下して満足してるんじゃない。わたしは本当に愚かだった。そんな自分を分かって、やっと愚かでない自分を探そうとしてる。これからなんだ、楽俊。これから少しずつ努力して、少しでも、ましな人間になれたらいいと思っている。ましな人間であることの証明が麒麟に選ばれて王になることなら、それを目指してみるのもいいかもしれない。でも、それは、いまのことじゃない。もっとずっと先の、せめてもう少し愚かでない人間になってからのことだ」
「月の影 影の海」(下巻)より引用
それに対して、楽俊は陽子を勇気づけます。
「お前一人でやるんじゃねえぞ。(中略)お前は自分を醜いと言う。浅ましいと言う。自分で言うんならそうなんだろうさ。だがな、景麒がお前を選んだ以上、景麒にはお前の醜さや浅ましさが必要なんだ。」
「足したらちょうど良くなるんだろうさ。お前だけでも足りねえ、景麒だけでも足りねえ。だから王と麒麟と、二つで生きるように作られてるんじゃねえのかい。(後略)」
「月の影 影の海」(下巻)より引用
「もっと自分を信じてやれ。五年あとに王の器になれるなら、いまから王でもいいじゃねえか。ここで竦む必要がどこにある?」
「ましになる気があれば、嫌でもなれる。麒麟と民がお前の教師だからな。それだけの数の教師がいて、莫迦でいられるはずがねえ」
「月の影 影の海」(下巻)より引用
ちょっと説明を加えると、麒麟は争いや血を嫌う、慈悲深い生き物です。
その麒麟が王を選び、王と麒麟が中心となって国を治めます。
慈悲だけで国を治めることはできない。
けれど厳しく取り締まることだけでも国を治めることはできない。
王と麒麟が良いバランスで国を治めることが求められます。
もちろん、麒麟だけでなく、王にはその他の家臣もたくさんいます。
最終的に決断するのは王であったとしても、決断するために他者の知識を借りたり意見を聞いたりしてもいいわけです。
陽子は自分が愚かでなくなったら王になることを考えてもいい、というようなことを言います。
でも結局、ましな人間を目指すんだったら、とりあえず王になって、人の手を借りながら、頼りながら目指した方が早いんじゃん?ってことです。
これを現実に置き換えて考えてみると、陽子のように「まだ早い」「もうちょっとしてから」と考える人はとても多いような気がします。
何かやりたいこと、挑戦したいことがあっても、もう少し勉強してから、資格をとってから、お金がたまってから・・・などなど、何かと理由をつけて後ろ倒しにしようとします。
けれど、
勉強したところで、もっと勉強しないと、と考えたり
資格をとったら、次は別の資格を、と思ったり
お金がたまっても、いつまでたっても足りない、と感じたりする。
結局、やりたいことができない。
こういうことは、よくあることです。
だったら、やりたいことをすぐに始めて、同時並行で勉強や貯蓄を進める方法を考えたほうが、よくないでしょうか。
人生は思ったより短いですし。
そして、人を頼ろうとせず、全部ひとりでなんとかしようとする人も、少なくないですよね。
「人に迷惑をかけてはいけません」と言われて育つからかな?
でも、大人になって自立したからって、人を頼ったり人の助けを借りてはいけないわけではありません。
助けたり、助けられたり
頼ったり、頼られたり
人は足りない部分をお互い補い合って生きていくものだと思います。
日本での陽子は、親や先生に迷惑をかけないよう過ごしていました。
同級生とは、当たり障りのないように接していました。
その結果、人間関係は浅くなっていました。
異世界にたどり着いて、生きるか死ぬかの経験をして、人に裏切られもしたけれど、自分の愚かさや浅はかさを知り、楽俊に出会って人を信用することを学びます。
陽子が王になって、景麒をはじめ様々な人に支えられて楽になるかというと、実はそういうわけではありません。
どんなに人の助けを借りたり頼ったりしても、王になった陽子は多くの困難にぶつかって悩み苦しみます。
でもそれらの困難を一つずつ乗り越えながら、陽子は治世の長い、立派な王になっていくのではないかと思います。
慣れないことを始めると、確かに大変なこともあるでしょう。
壁にぶつかることがあるかもしれません。
でも何も一国の王になったわけではないのだから、きっと陽子ほどの困難ではありません。
「陽子もなんとかなってるんだから、自分もなんとかなる」という思いで、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、前回に引き続き十二国記シリーズの「月の影 影の海」の感想をお伝えしました。
勇気をもらえる小説って、とても素敵ですよね!
十二国記シリーズを実写化するとしたらキャスティングどうするかなぁ、という妄想でひとり盛り上がってしまった(笑)
やりたいことや挑戦したいことがあるならば、後ろ倒しにせず、今すぐ始めませんか?
何もかも全部ひとりでやらなくても大丈夫です。
あなたの強い思いがあれば、周囲はあなたを応援してくれるし、支えてくれます。
必要なときには、人を頼り、力を借りましょう。
今すぐ始めたら、1年後、5年後、10年後、あなたはどうなっているでしょうか?
きっと、理想の自分に近づいていますよ。
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